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世界を調べる、昔を調べる、Google Earthの活用法

安藤幸央です。本連載では「探究」のための各種ツールとその活用方法を紹介していきます。本連載のトップ写真は、「道具」をテーマとした子ども向けの本が並んだものにしました。

 では、連載第1回の今回は Google Earth を取り上げます。

 検索といえばGoogleが一般的に知られています。検索することを「ググる」と動詞で言うほど、一般的になりました。Googleは「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」を使命としており、検索エンジンのみならず、さまざまな情報を世界中の人々にわかりやすく提供しています。みなさんもスマートフォンに搭載されている「地図アプリ」を使いますよね。方向音痴の人も、そうでない人も地図アプリに助けられることは多いのではないでしょうか?

 地図アプリでは、今いる場所を地図上で探したり、目的地を探したり、目的地にたどり着くまでの経路を調べたり、周りの風景を360度写真で見ることができるストリートビュー(ルックアラウンドと呼ぶ場合もあり)と、便利に活用することができます。ここでは一般的な地図から一歩進んで、世界中の地図を統合したバーチャル地球儀「Google Earth」を紹介しましょう。

 最初の Google Earth バージョン1.0 は2001年6月11日にリリースされました。現在の Google Earth は、もともと SGI(シリコングラフィックス社)が開発していた Keyhole というバーチャル地球儀のソフトウェアに由来しています。
Google Earth は特殊な機器を必要とせず、一般のパソコンのWebブラウザやスマートフォン、タブレット端末で平易に利用できます。さらに地球儀としての役目のみならず、海中を立体的に表示できる機能、星座などが表示できるSky機能、月や火星の探査などにも使えるよう進化しています。

(※実は Google Earth が生まれる経緯、背景はとても複雑です。メディアアート作品の制作会社であるART+COMが、1994年に商業目的でTerravisionというバーチャル地球儀し特許を取得していたことから、Googleに対して訴訟が行われています。興味のある方は Netflix で配信されている “ビリオンダラー・コード” をご覧頂くと良いでしょう。)

過去にさかのぼる:Google Earth のタイムラプス

 Google Earthではタイムラプスと呼ばれる見せ方で、過去の衛星写真から現在の衛星写真まで1年ごとの衛星写真をパラパラと順繰りに見ることでその場所の変化を知ることができます。

  • パソコンの Webブラウザで https://earth.google.com/web/ を開きます
  • 左側に並んでいるメニューから船の舵(かじ)のような Voyager アイコンをクリックします
  • 中央に並んでいるメニューから Layers を選択し、下にならぶ画像から “Timelapse in Google Earth” を選択

 世界中のほぼ全ての場所で、1984年以降、現在までの衛星写真を順繰りに見て、変化を知ることができます。スマホやタブレット端末でも同様に無料の Google Earth アプリをインストールし、同様の操作で利用ができます。森林の伐採や都市の変化などを俯瞰して知ることができます。

羽田空港付近の1984年の様子(まだ埋め立てが進んでいない)
2020年頃、埋め立てが進んでおり、新しい滑走路の様子が見て取れる

世界中を勝手に旅する:I’m Feeling Lucky

 Googleのとてもシンプルな検索ページに、いつも不思議な存在感をもって鎮座している”I’m Feeling Lucky”(私ってラッキー!)というボタンを押したことがありますか?検索キーワードを入力せずとも、何かしら勝手に検索して、検索結果を表示してくれるボタンです。Google Earth にも、この「勝手」機能が搭載されています。

  • パソコンの Webブラウザで https://earth.google.com/web/ を開きます
  •  左側に並んでいるメニューからサイコロのマーク “I’m Feeling Lucky” アイコンをクリックします

 誰かが選んだおすすめの場所、おすすめの建物などの場所へ、飛行機に乗った気分?で移動することができます。

“I’m Feeling Lucky” ボタンを押してたどり着いた歴史的建造物アレクサンダー・ハミルトン合衆国税関周辺の様子

Google Earth の引用について

 みなさんもテレビの旅行バラエティ番組などで Google Earth の画面が登場するのを見たことがあるかもしれません。衛星写真や地図情報などは、著作物であり、取り扱いに十分注意する必要がありますが、Google Maps や Google Earth の画面を利用規約に従い、権利帰属を明確に表示、そのまま改変無しで引用する分には、特別な手続き無しで、平易に利用することができます。

 重要なのは Google Earth や Google Maps の画面の最下部に表示されるロゴや、データの提供元を消したり削ったりせずに、そのままの画像を引用するということです。印刷物などにおいても、書籍、雑誌や論文、レポートやプレゼンテーションで利用が可能です。一方、Google Earth を元に旅行ガイドブックを作ったり、地図を印刷してTシャツやマグカップを販売したりはできません。詳しくは公式のガイドライン「Google マップ & Google Earth 利用ガイドライン」を参照してください。利用状況ごとにわかりやすく指示が書かれています。
 

 最後に Google Earth の想い出を。
 SGI, Keyhole, Google と、会社は移り変わっても、ずっと Google Earth の立役者であったマイケルジョーンズ氏、悲しいことに2021年1月に亡くなってしまいましたが、彼の理想と志は Google Earth のみならず、現在世界中で流行中のNiantic社の位置情報ゲームにも受け継がれています。

 写真は安藤がジョーンズ氏と Google Earth のTシャツを持っているところです。写真には写っていませんが、この Tシャツには “4.7 Billion Years. Still in Beta?” と書かれており、不完全なベータ版をすぐに一般公開してしまうGoogle自身に由来した皮肉として、私たちが暮らしている地球に対しても「誕生から47億年?まだベータ版。これから改善していくよね!」というメッセージが込められています。

Michael T. Jones と筆者(2011年9月撮影)

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