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【図書紹介】『いえのなかと いえのそとで』

カムカムクラブ(同クラブの活動についてはこちら)は1冊の本の読みきかせからスタートする。本をより多く紹介したいのはもちろんだが、数年前からそう決めたのは、子どもたちが席について少し落ち着く時間を取りたいのと、「面白い本を紹介するから、時間に遅れないでね」というメッセージを送りたいからである。実際こうしてから遅刻者が減った。紹介する本は、まだ学校図書館にも並んでいないような新作から選ぶことが多い。そんな旬のおすすめ絵本についても【図書紹介】で紹介していく。

 2021年6月の読み聞かせに選んだ本は、『いえのなかと いえのそとで』(原題 Outside, Inside)である。

「さあ、次の本はなんについての本だと思う?」と言って、読み聞かせを始めた。

きせつがかわる ちょっとまえ、いつもとおなじような日に しんじられないことがおこりました。

(ページをめくる)

いえのそとにでていたひとたちが・・・

(また、めくる)

いえのなかからでなくなりました。

ここまで読んだとき、「コロナだ」と男の子の声が聞こえた。

レウィン・ファム作, 横山和江訳(2021)『いえのなかと いえのそとで』廣済堂あかつき.

 真剣な表情の子、戸惑った顔をしている子・・・集中していることはマスクの顔からもわかり、子どもたちはどう受け止めているのかと気にしながら慎重に読み進めていく。文は少ないが、カラフルで親しみやすいイラストレーションが魅力的だ。よく見ると、ロックダウンで家にこもっている多様な人々の様々な日常をていねいに描いていることがわかる。また、「いえのそとで、しごとをする ひつようのあるひとたち」=エッセンシャル・ワーカーも登場する。病院の場面のページではこちらの読みきかせの声がつまりそうになる。また、子どもたちを前にすると、とりわけ「いえのなかでも、こどもはおおきくなりました。」の一節が胸に迫る。

 そして、「だれもがしんじているのです。かならず、はるはやってくる、って。」と読んだとき、「えー! 冬だったの?」と無邪気な女の子の声が聞こえた。「これは、ココロの春ってことだよね。」と言ってはみたが、この表現は彼らには少し難しかったかもしれない。もっと絵をじっくりと鑑賞すべき本だが、距離をとって見せているので、コロナ下での読みきかせではかなわない。
 

 読み終わって聞いてみた。「みんな去年からそれまでとは違う生活になっちゃったと思うけど、まだ特別なことある? 学校ではどう?」 それに対し、誰かが「給食のときはしゃべっちゃいけない。」と言うと、「そうそう。でも、音楽とか、ずっとかかってるんだ。」と男の子が少しうれしそうに教えてくれた。子どもは大人が思っているよりずっと柔軟でたくましいのかもしれない。
 

 今回は、みんなの日常と世界はつながっているんだよと本から少しでも感じて欲しくてこの絵本を選んだ――家の外で大好きな人たちと自由に会える日を願いながら。

 上記の図書紹介は、「友だちは最強の環境」(2021年9月1日公開)の末尾に記していたが、本サイトに【図書紹介】のコーナーが作られたのを機に、独立した記事として2022年4月8日に再公開しました。

(青栁啓子)

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